北陸小トリップ5日目の目的は、福井県若狭町にある福井県年縞博物館を見に行くこと。実はこれが今回の北陸小トリップ一番のメインイベントですヽ(・∀・)ノ
年縞って何って思われた方は、こちらに分かりやすい説明が載っているので参照してみてください。
http://varve-museum.pref.fukui.lg.jp/about
年縞というのは「長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く特徴的な縞模様の湖底堆積物」の事。微生物の繁殖や堆積物の流入とかには季節変化があるので、湖では色調が濃淡(白黒)を示す地層のセットが1年に1つずつ形成されていく事がよくあります。それが長年繰り返すことによって地層の縞々が形成されるんですヽ(・∀・)ノ
これが乱されずに残っていたら分解能1年というめっちゃ高性能な地質年代のものさしが出来る訳ですが、途中で湖が埋まってしまったり、生物活動で縞々が乱されてしまったり、堆積状況が変わったりして現実にはそんなに上手くいかないです(>_<)
なのですが、三方五湖の1つ水月湖では、色々な条件が組み合わさった事で、過去7万年分の縞々が奇跡的に連続して残っていたので「奇跡の湖」と呼ばれています。
そんな特殊な条件で縞々が残った水月湖の存在、それを乱さずに掘り出したボーリングオペレーターの技術、掘り出したコアを分析して精度の高い地質年代の「世界標準ものさし」を作った研究者の全てが凄くないですかO(≧∇≦)O 地質関係者だとその凄さを共感してもらえると思いますが、専門外の人にはなかなか伝わらないと思うので実物を紹介していきます。
館内はこんな感じで、常設展示の目玉はボーリングコアの試料を薄く削って薄片にした「年縞ステンドグラス」↓
ボーリングコア本体は貴重な試料なので、今後の研究用に凍結保存されているそうですが、その一部を剥ぎ取ったこのステンドグラスは、樹脂で封入されているので変色とか風化とかが無い状況で縞々を観察出来ます|д゚)ジー
一番手前が掘削した年(基準0年)で、そこから奥に向かって年代が遡っていきますε=(ノ・∀・)ツ
1586年に起きた天正地震で乱れたイベント層↓
7253±23年前 鬼界カルデラの火山灰(K-Ah)↓
25298±47年前 三方断層の活動↓
30078±48年前の姶良カルデラの火山灰(AT)↓
それにしてもATの降灰年代が30078±48年前って精度凄すぎですΣ(゜Д゜) 老猫が大学生の頃は、26000年前とか28000年前とかいろんな説がありましたからね(^_^;)
お盆の間も日本各地の接待を伴う飲食店でお姉さんと客の間で交わされていたであろう、「私、いくつに見える?」というやり取りで出てくるお姉さんの年代値より誤差は小さいかと😁
46810年前 急激な温暖化↓
71231±209年前 最初の年縞↓
年縞ステンドグラスの裏には、年縞と地質学的・考古学的イベントとの対比、年代のものさしを作る事の意味、年縞の研究方法、環境の指標になる微化石の拡大模型などが分かりやすく展示・解説されています。
老猫は電車移動という時間の制約があったので2時間くらいで全体を見て回りましたが、地質や考古学に興味がある人なら1日かけて縞々を嘗めるように観察しても飽きないかも。
老猫も地質関係の仕事をしているので、こんな素晴らしい試料を研究対象に出来るならテンションが上がるだろうなと一瞬思いましたが、研究プロジェクトに関われるのは超一流の研究者だけなので、老猫のような在野の三流地質屋はお呼びでないですねσ(^_^)
それにしても良いものが見れたので、地質屋の端くれとしてわざわざ足を運んだ甲斐がありました♪
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